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緑内障患者に抗コリン薬が禁忌な理由

風邪薬や鼻炎薬などの抗コリン剤と呼ばれる成分が入っている薬は基本的に緑内障患者に使ってはいけません。

その理由というのも、狭隅角緑内障や閉塞隅角緑内障という、目の中の水分が循環する経路が狭くなっているタイプの緑内障では、抗コリン作用のある薬を使ったときに、急激に眼圧が上昇してしまい、緑内障発作と呼ばれる状態になってしまうからです。

緑内障発作とは?

緑内障発作とは、急激に眼圧が高くなることで、目の痛みや吐き気、頭痛など様々な症状を引き起こした状態です。

前兆として光を見たときに、虹のような輪が見えるという症状が現れるのが特徴的です。

普通は緑内障は慢性的に眼圧が高い状態が続き、徐々に視神経が障害を受けて視野が狭くなるのですが、急激に眼圧が高くなると頭痛や吐き気を催すことがあります。

抗コリン作用のある薬剤を使用すると、虹彩の瞳孔括約筋が弛緩して、狭隅角緑内障・閉塞隅角緑内障では隅角が狭くなり、房水が流れるのを妨げてしまうため、眼圧の上昇を起こしやすくしてしまいます。

眼の構造1

そのため、狭隅角緑内障・閉塞隅角緑内障では抗コリン作用のある薬剤は禁忌とされています。

狭隅角緑内障・閉塞隅角緑内障とは?

眼球は房水という水分で満たされています。

房水は眼球の中の毛様体というところで作られ、眼球の中に流れ込み、水晶体と虹彩の間を通って角膜の隅の方の隅角というところから出ていきます。

シュレム管というのが房水が最後に流れ出る箇所です。

緑内障_房水流出経路

遺伝や加齢などの何らかの原因で、隅角が狭くなって房水が流れ出て行きにくい状態になっている緑内障を狭隅角緑内障・閉塞隅角緑内障と言います。

緑内障_狭隅角緑内障

房水はシュレム管に入る直前に線維柱帯と呼ばれる部分を通りますが、ここが目詰まりを起こしていたりして、房水が流れにくくなることでも眼圧は上昇します。

緑内障_開放隅角緑内障

この場合は隅角が狭くなっていなくても緑内障を引き起こすので、開放隅角緑内障と呼ばれます。

治療中の緑内障患者では抗コリン作用は問題にならない

実際に日本での統計や基本的な治療方法を確認すると、緑内障患者に抗コリン作用のある薬は問題になら無いことが多いです。

日本の緑内障患者の内、狭隅角緑内障・閉塞隅角緑内障の患者はおよそ12%程度です。

さらにこれらの患者は、緑内障発作を引き起こさないように、予防的にレーザー治療を受けていることがほとんどです。

レーザー治療では狭くなっている隅角の虹彩の付け根あたりに小さな孔を開けるので、隅角が仮に閉じてしまったとしても、房水の流出路が妨げられることはないので、緑内障発作を起こすことはほぼあり得ない状態となります。

狭隅角緑内障・閉塞隅角緑内障でも抗コリン作用のある薬剤で緑内障発作を起こす可能性は十分低くなっているので、ほとんど場合は抗コリン作用のある薬剤が問題となることはありません。

自分が緑内障で市販の風邪薬やアレルギー薬を使う場合でも、医師に風邪薬やアレルギー薬を使っていいかを確認しておけば更に安心ということになります。

薬局の薬剤師・登録販売者であれば、患者本人が医師の了承を得ているかを確認することで、選べる薬の選択肢が広がるので、接客の時には参考にして下さい。

緑内障の検査を受けたことがない人は要注意

眼精疲労やアレルギー用の点眼薬の中には抗コリン作用のある薬剤が確実に含まれています。

他にも風邪薬やアレルギー薬、一部の胃薬などでも緑内障発作を起こすことがあります。

緑内障と言われたことはなくても、点眼してすぐに目の痛みを感じるときはその目薬を持って、眼科を受診してください。

 

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