ALS(筋萎縮性側索硬化症)の治療薬、「リルテック」の粉砕指示がでていたので、その問題点と対応方法をメモしておきます。
問題点
リルテック錠はフィルムコーティング錠ですので、粉砕すればコーティングが剥がれて弊害をもたらします。
また遮光性のPTP包装なので、PTPから出したあとの安定性にも注意が必要です。
粉砕時の弊害は主に3つです。
- 光によって有効成分であるリルゾールの含有量が低下するおそれがある。
- リルゾール自体に局所麻酔作用があり、口腔内でしびれを引き起こす。
- 粉砕することによって苦味がでる。
治療効果を考えると、有効成分の含有量低下は重大な問題です。
しかし、メーカー回答では遮光保存すれば5週間は含量低下は認められないとのことなので、処方日数が5週以内であれば、遮光袋に入れることでこの問題は回避できます。
次に、口腔内のしびれと苦味の問題です。
これは患者の感覚的な部分になるので、本人が我慢できれば問題無いです。
ただ、用法を考えると、朝夕食前の分2服用なので、味覚異常など食事に影響が出ることも考えられます。
よく患者さんと話をしておくことが大事です。
合わせて錠剤のままでも服用可能な病状であれば、そのままの服用をおすすめするというのも一つの手段です。
対応方法
自分がこの粉砕指示に出会った時のことを記載しておきます。
まず、処方元の医師に確認を入れました。
「食前投与なので苦味と口腔内のしびれが服薬上問題になることがあるのですが、粉砕してお渡しのほうが良いですか?一応確認なのですが・・・」
のようなかんじで問い合わせをしました。
というのも処方医は神経内科の専門医と思われたので、基本的なことは知っていると思って聞いたほうがいいと思ったためです。
回答は粉砕しても、しなくてもどちらでもOKとのことでした。
どうやらこの患者さんは入院されていたようで、院内では嚥下困難者として粉砕して服用していたのです。
粉砕指示がそのままになって、院外処方にも記載されていたとのことです。
というわけで、患者さんが苦味とかしびれを気にするようなら錠剤での服用をおすすめするという対応になりました。
もちろん、粉を飲むのが大変な方もいるので、そのあたりニーズは聞き取りが必要だと思います。
当薬局では今後のために、このような事例を残して活用していく体制を整えてい行こうと思います。
今回の事例のように、初めてのケースではネットでの情報というのが意外に役に立ちます。
こういった処方を普段受付しない薬局さんの参考になればと思います。